2007/10/25

情報システムにおけるアウトソーシング

情報システムにおけるアウトソーシング
007381 脇川 章
2002 年 11 月 7 日
1
はじめに
1996 年から 2000 年の間に調査をおこなった,情報
システムにおけるアウトソーシングの利用率を表 1 に
示す [1].
表 1: アウトソーシング利用率の推移
西暦
利用企業の割合
1996 年 32 %
1997 年 38 %
1998 年 42 %
1999 年 47 %
2000 年 49 %

1996 年において,情報システムのアウトソーシング
を利用している企業は 32 %であった.1996 年に比べ
ると 2000 年には 17 %の増加があり,情報システムの
アウトソーシングを利用している企業は 49 %になっ
た.本発表では近年,利用が増加している情報システ
ムにおけるアウトソーシングの効果と課題について述
べていく.

2
アウトソーシングとは
情報システムとは組織または,社会に必要な情報の
収集・処理・蓄積・伝達利用にかかわる仕組みであり,
情報システムにおけるアウトソーシングは,広義のア
ウトソーシングとは異なる.アウトソーシングにおい
て業務を外部へ委託する企業を,ユーザ企業という.
また,アウトソーシングにおいて委託された業務を実
施する外部の企業を,アウトソーシングベンダという.
広義のアウトソーシングとは社内で調達していた機能,
あるいは,社内で調達することが当然だと思われてい
た機能を,外部の企業が提供することである.
 アウトソーシングにおける,ユーザ企業とアウトソー
シングベンダのやり取りを図 1 に示す.
図 1: アウトソーシングの構造

 広義のアウトソーシングに対して,情報システム
におけるアウトソーシングはユーザ企業が社内で調達
していた機能,あるいは,社内で調達することが当然
だと思われていた機能を,アウトソーシングベンダが
定常的にかつ,管理責任を持って提供することである.
 たとえば,情報システムの開発プロジェクトにおい
て,自社の開発力が不足するためにプログラムの作成
を外部の企業に委託することは,情報システムにおけ
るアウトソーシングと異なる.また,情報システムの
運用に際し,外部の企業から派遣されたきた人材を開
発のメンバに加えるようなケースもアウトソーシング
ではない.業務を委託された企業は人材を派遣するだ
けで,管理責任を受託したわけではないからである [2].

3
アウトソーシングの効果
アウトソーシングベンダから人材,資産を提供され
ることにより,ユーザ企業は自社で業務を実施してい
たのでは得られない効果を得ることができる.

1
Page 2

3.1 コストの削減
アウトソーシングにおけるコストの削減で大切なこ
とは,一時的な削減よりも継続的に削減を可能にする
ことである.2 章で述べたとおり,情報システムにお
けるアウトソーシングはアウトソーシングベンダによ
り,定常的に機能の提供がおこなわれる.アウトソー
シングには,一時的なコストの削減よりもトータルで
コストを削減できることが重要である.
3.2 専門の技術を利用できる
自社では利用できないアウトソーシングベンダの保
持している専門の技術を,利用することができる.技
術の進歩が激しい情報技術の分野では,自社において
育成することが困難な技術がある.しかし,アウトソー
シングを利用することにより,自社では育成すること
が困難な専門の技術を必要なときに利用できる.

3.3 社員の活用
アウトソーシングされた業務に携わっていた社員は,
アウトソーシングされた業務をアウトソーシングベン
ダに任せて,別の業務を担当することになるか,また
は,アウトソーシングベンダへ移転することになる.
移転した場合は,アウトソーシングベンダで使われて
いる専門の技術を学ぶことにより,社員の技術が上達
することになる.アウトソーシングベンダへ移転しな
い場合は,人手の足りていない別の業務へ社員を移転
させることができる.

4
アウトソーシングの課題
アウトソーシングベンダへ自社の業務を委託すると,
アウトソーシングベンダは自社の社外秘の情報を扱う
ことになる.情報システムにおけるアウトソーシング
の場合には,自社における経営,経理,人事の情報な
どがある.これらの社外秘の情報を守秘することが,
ユーザ企業にとっては重要な課題となってくる [3].

5
おわりに
本発表では情報システムにおけるアウトソーシング
の効果と,課題を述べてきた.
 今後の発表では,情報システムにおけるアウトソー
シングの流れ学ぶため,具体的にアウトソーシングベ
ンダとユーザ企業を調べる予定である.

参考文献
[1] 経済産業省,“情報処理実態調査”,
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0001257/
0/0105it1.pdf,2001.
[2] 島田達巳,“実践アウトソーシング”,日科技連,
1998.
[3] NTT データ経営研究所,“IT フルアウトソーシ
ング”,日刊工業新聞社,2000.

No comments: